RELATIONSHIP

【ブックレビュー】The Missing Piece by Shel Silverstein

娘が1歳の誕生日を迎え、そろそろBedside Story(眠りにつく時に読んであげる絵本のこと)をスタートしようと英語の絵本を探していたところ、よく行くヴィーガンカフェで素敵な作品に出会えました。Shel Silversteinの『The Missing Piece』。一見、子ども向けの絵本に見えるのですが、オトナの心も十分に揺さぶるような内容で、「今現在、自分自身だと感じているものは何か?」という誰もが持つ重要なテーマに、繊細さと優しさで応えている絵本なのです。

The Story of “The Missing Piece”

足りないカケラを探して旅をする不完全なマル “it” 。
雪で凍えたり、太陽に暖められたり、ミミズに話しかけたり、花の香りをかいだり。楽しく転がりながら自分にフィットするカケラ “The missing piece” を探します。
でも、探し続けて出会ったのは、大きすぎたり尖りすぎていたり。なかなか欠けている部分にピッタリのものには出会えません。

そんな中、ある日 “it” は自分にぴったりな完璧なカケラに出会います。ようやく見つけたmissing piece。カケラはピッタリはまって、ウキウキでいつもの歌を歌おうとしますが、なぜだか上手に歌うことができません。完全なマルになってしまった “it” は、コロコロ速く転がりすぎてしまい、いつもみたいにミミズに話しかけたり、花の香りを楽しんだりすることもできなくなってしまいました。
「なるほど!そういうことだったのか」と優しくカケラを手離す “it”。
そして、またmissing piece探しの旅を始めるのです。

作者 Shel Silverstein

この絵本の作者は、イラストレーターで作家でシンガーソングライターでもあるShel Silverstein。彼の代表作でもある「The Giving Tree」(日本語版:おおきな木)は読んだことがある方も多いのではないでしょうか? 2人の子どもを持ちながら誰とも結婚せず、“1,000人の女性と寝た”なんて逸話を持つShel。作品たちには、彼の寂しくも優しい文学が詰まっていて、子どもだけでなく、大人たちにも愛され続けています。

ミニマルで愛おしいイラストたち

この作品に描かれているのは、黒い線だけで描かれたマルとカケラだけ。不完全なストーリーにマッチしたミニマルなイラストは、物語を読んだり、作中の歌を歌わされているうちにいつの間にか感情移入してしまい、マルとカケラが切なくなったり愛おしくなったり。

最後に

善悪がはっきりと表現され、要点が最初から押し付けられているような教科書的な単純な物語とは違い、シンプルな言葉とイラストから、自分で自由に感じ取るのがShelの作品。曖昧で明確な答えがない問いかけは少し意地悪なのだけど、そんな曖昧さから何かを感じ、自分の心で考えることこそが、子供への読み聞かせ、Bedside Storyの醍醐味。洗練された絵本は文学でアート。今の私たちにとっても、このような作品にたくさん触れることがセルフラブにも繋がるのではないでしょうか。